厨房屋の白髪頭のオヤジは亡くなった


父の歳から１５年も長生きして７０歳です。



「昔から商売人は　汚く稼いで綺麗に使え！
こうすれば世間にお金が回って皆が潤う・・」


よくこんな事を言っておりましたオヤジでした。



しかし、なかなか汚く稼ぐのも、綺麗に使うのも


難しい世の中になって参りましたが、オヤジが


生きておりましたら何と言うのか気になります・・

「義理と人情と痩せ我慢！これが京都の
商売人の張りと意気（粋）やな！」

こんな調子でしたから外面は良いのですが


無理は内に来ます・・

本当の甲斐性が有れば外も内も楽でしょうが


中々そうは参りませんのが世の中でしょうね・・



厨房屋のオヤジは毎日バタバタしてまして、


夕方になりますと心地よい疲れが出ます



何だかえらい仕事をしたみたいな気持ちになって


「さあ！風呂でも入ろうか、今日は忙しかったな」



などと調子は良いのですが、カミさんに


「今日は忙しそうやったからいくら儲かったん」



「ありゃりゃ・・何にも儲かってないがな・・
感じ良く疲れてるのになァ～、貧乏暇無しとは
この事なんやろなァ～」



「お父さん、貧乏暇無しは有りがたい事なんやで。
貧乏暇有りになったら大変やわ、お金は無いわ
時間は有るわではえらい事でっせ・・」


「そんなもんかいなァ～」



こんな調子で毎日つつがなくオヤジの一日が


終わるのですが、私の人生も黄昏れ時でしょうね

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